賃金支払いの原則とデジタル払い

更新日アイコン2025年3月21日

賃金のデジタル払い

2023年4月の労働基準法施行規則の改正により、賃金のデジタル払いが解禁されました。2024年8月に1社目の資金移動業者が厚生労働大臣により指定され、賃金のデジタル払いの運用が可能となり、2025年3月現在3社の資金移動業者が指定されています。

これまでも労働者が同意した場合、預金口座と証券総合口座への振込が認められていましたが、賃金は通貨で支払うことが原則とされています。しかし、昨今キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進み、それらのサービスを活用するニーズも一定数見られることも踏まえ、賃金のデジタル払いが可能になりました。

この記事では賃金支払いの原則と、デジタル払いを実施するために必要なことを解説します。

賃金とは

会社から支給される金銭には「賃金」「給与」「報酬」など様々な名称がありますが、労働基準法で定める賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払う全てのものを指すと定められています。就業規則などであらかじめ支給条件が明確に定められている賞与や退職金なども賃金に含まれます。

「労働の対償として」「使用者が」労働者に支払うものなので、労働者がお客様から直接もらうチップなどは賃金には当たりません。しかし、同じチップでも、使用者が一旦全てを集めて再分配しているような場合は賃金となります。

賃金支払いの5原則

賃金は①通貨で、②労働者に直接、③全額を、④毎月1回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければならないとされています。これを賃金支払いの5原則といい、労働の対償である賃金が確実に労働者の手に渡るよう定められた原則と言えます。

賃金は通貨で支払うことが基本であるため、金融機関への振込や証券口座への振込による支払いはあくまでも例外となります。賃金のデジタル払いはこれらに追加された例外として扱われます。

賃金のデジタル払いを実施するには