2025年 11月11日

昼休み中に電話対応をした場合には、5分であっても休憩時間を延長する必要があるのでしょうか。休憩時間の原則を踏まえ、判例や行政解釈とともに解説します。
労働基準法34条1項では、「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩を、労働時間の途中に与えなければならない。」と定められています。
目黒電報電話局事件
休憩時間中の事業内でのビラ配布などの政治活動・組合活動等が争われた目黒電報電話事件では自由利用にも限界があるとされました。
大星ビル管理事件
不活動の仮眠時間であっても、仮眠室における待機と警報や電話等に対して直ちに相当の対応をすることを義務付けられており、実作業から解放されていても労働からの解放が保証されているとは言えないため、労働時間に当たると判断されました。
すし処杉事件
すし店の板前見習および洗い場等裏方の仕事に従事している店員が、勤務時間中の客の途切れた時などを見計って適宜休憩してよいとされている時間は手待時間(労働時間)に当たると判断されました。
通達 昭23・4・7基収1196号 昭和63・3・14基発150号
昼食中の来客当番は労働時間であると判断されています。
休憩時間の電話対応については、実作業をしているため労働時間と判断されます。たとえ5分であっても労働基準法違反となる場合があるため、注意が必要です。
労働時間が8時間を超えるの場合
労働基準法では1時間の休憩時間を与えるよう定められています。電話対応により不足した5分間については、延長させるか、難しい場合には別途取得させるようにしましょう。
労働時間が6時間を超え8時間以内の場合
労働基準法違反にはなりませんが、心身の回復という意味では、申し出がある以上取得させた方がよいでしょう。
尚、就業規則で8時間を超えない労働であっても、休憩時間を1時間と定めているのであれば取得させる必要があります。
また、労働者に「休憩時間を取得できなかった」と言われないよう、日ごろから5分でも実務を行った場合には休憩をとるよう啓発することや追加の休憩時間の申請・取得をしやすい環境づくりも大切です。
Q1 休憩時間にランニングをして汗だくで帰ってくる従業員がいます。行動制限はできますか?
企業の土地・建物等に対する所有権・利用権、企業活動の円滑な遂行等使用者の権利、他の労働者の休憩の権利を守るために規制を設けることは可能ですが、スポーツは原則として心身回復のためOKとされています。
休憩時間の行動を制限するのではなく、不衛生な身なりであることは就業規則の服務規定違反となる等の指導を行いましょう。
Q2 休憩時間に遅れて戻ってくる従業員がいます。どのように対応すればよいですか?
Q3 7時間勤務の予定だったので45分のみ休憩を与えていましたが、8時間を超える勤務となってしまいました。どうすればよいですか?
労働時間が6時間を超える場合には休憩時間は45分、8時間を超える場合には休憩時間は1時間与えなければなりませんので、追加で15分の休憩を与えましょう。
労働者にとって休憩時間の確保は、非常に重要です。
日ごろから休憩時間のルールを周知し、労使ともに徹底しましょう。
5分くらいいいだろうの積み重ねが、離職や労働効率低下につながる恐れがあります。
不安や疑問がございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
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