就業規則を見直したい

更新日アイコン2026年07月14日

就業規則 変更 見直し 不利益変更 変更方法 流れ

10年前にとりあえず作成した就業規則が実態に合っていない、、、
就業規則を見直したいけどどうすればいいの?
今回は、就業規則見直し手順とよくある質問にお答えします。

就業規則見直しの流れ

労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成および行政官庁に届け出ることを義務づけています。(89条)

また、就業規則を作成する際には、以下の2つの手続きが必要です。

①労働組合もしくは労働者の過半数を代表する者の意見を聴くこと (同条90条)
②届出の際に意見を記した書面を添付しすること。(同条90条2)

あわせて、就業規則を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法で、労働者に周知させる必要があります。 (106条)

なお、就業規則を変更する場合にも、同様の手続きが求められます。

これらを踏まえ、実務上どのような手順で就業規則の見直しを行うか解説します。

①修正箇所の整理

まずは就業規則全体を通読し、変更箇所を洗い出します。
例えば、このような着眼点があります。

  • 実態と乖離している運用(例:テレワーク制度が規程にない)
  • 法改正に未対応の部分(例:育児介護休業法など)
  • 会社として改善したい点(例:有給申請の方法を変えたいなど)
  • 過去にトラブルがあった領域(例:遅刻・早退の扱い、休職制度について)

また、変更理由を明確にしておくことが重要です。 理由が曖昧なまま進めると、従業員への説明の際に不信感を招くことがあります。

②規定の作成

変更箇所が整理できたら、実際に文言を考えていきます。
曖昧な文言だと従業員に都合の良い解釈をされることがあります。汎用性を高めるため、あえて曖昧に記載する部分と明確に記載する部分とでメリハリをつけると運用もしやすくなります。

文言を作成したら就業規則全体で矛盾が生じていないか、関連規程(賃金規程・育児介護休業規程など)との整合性が取れているかなどに注意し、最終確認をしましょう。

③労働者への意見聴取と意見書の作成

労働組合または、労働者代表を選出し、意見聴取・意見書を作成ましょう。
労働基準法が求めているのは意見を聞くことですので、 反対意見があっても必ず反映する義務はありません。
ただし、反対意見が多い場合は、合理性が問われ、訴訟リスクが高まりますので文言の調整も視野に入れましょう。

また、労働者代表の選出方法が不適切だと、意見書が無効になる可能性があります。労働者代表の選出は、 「会社が指名する」「管理監督者が代表になる」 などはNGです。

なお、意見書の様式に特段の定めはありませんが、厚生労働省のホームページでフォーマットが公開されています。

④新旧対照表の作成(任意)

新旧対照表の作成は法律上の義務ではありませんが、社内の承認プロセスや従業員への説明資料として活用もできますし、過去の変更履歴を残せるため作成をお勧めします。
新旧対照表の内容は、新旧の就業規則を並べ、追記・削除・変更等を記載するのみで構いません。

「どこがどう変わったのか」を一目で示せる資料は、トラブル防止に役立ちます。

⑤管轄の労基署へ届け出

常時10人以上雇用している場合には、就業規則を変更した際には、遅滞なく労働基準監督署へ届出が必要です。届け出の方法は、直接労働基準監督署へ赴くか郵送、電子申請が可能です。
なお、届け出が必要な書類は、以下の通りです。

  • 就業規則変更届

  • 新たに作成した就業規則本体
  • 労働者代表(労働組合)の意見書

必要な届け出書類は上記のみですが、新旧対照表も同時に届け出ることをお勧めします。変更点を確認しやすいため、比較的スムーズに手続きが完了する傾向にあります。

なお、就業規則変更届についても決まった様式はありませんが、厚生労働省のホームページでフォーマットが公開されています。

⑥労働者への周知

就業規則は、周知されて初めて効力が発生します。周知とは、労働者が知ろうと思えばいつでも就業規則の存在や内容を知り得るようにしておくことを言います。
例えば、 周知方法に
は以下のようなものがあります。

  • イントラネットへの掲載
  • 食堂・掲示板への掲示
  • PDF配布
  • 社内ポータルでの通知
  • 紙での配布

いずれも、すべての労働者が閲覧できる状態でなければいけません。そのため、イントラネットに掲載しても、パートやアルバイトはログインできない場合は「周知している」とは言えないでしょう。周知が不十分だと、せっかく作った就業規則が無効扱いになる可能性がありますので注意しましょう。

就業規則見直しのコツ

就業規則の見直しでは、条文そのものの修正だけでなく、細かな配慮がトラブル防止に大きく影響します。ここでは、 就業規則見直しのコツを紹介します。

  • 条番号は変えない
     条文を削除する場合は「削除」と明記し、追加する場合は「○条の2」のように枝番で対応します。条番号を動かしてしまうと、就業規則だけでなく、雇用契約書や労働条件通知書、関連する枝規程、さらには社内の申請書式まで総点検が必要となり、作業負担が一気に増えてしまいます。
    条番号は“住所”のようなものと捉え、安易に動かさないことが重要です。 

  • 文末、言葉ははそろえる
     「社員」と「従業員」が混在していると、適用範囲が曖昧になります。また、ですます調と体言止めが統一されていないと、従業員に不信感を与える原因になります。規程は会社の公式文書であるため、細部まで整えることで信頼性につながります。 

  • 労働者の種類を明確にする
     正社員・契約社員・パートタイマーなど、どの区分にどの規定が適用されるのかを明確に記載しておかないと、「自分には適用されないと思っていた」「自分も適用されると思っていた」といった誤解が生じます。特に正社員のみを対象とする規定がある場合は、パート等には適用されない旨を明記しておく必要があります。

  •  変更理由を明確にしておく
     どのような会社でも、変更に対して疑問を呈する従業員は一定数存在します。従業員から説明を求められた際に、担当者が憶測で回答してしまうと、不信感を招く原因になります。変更理由は事前に整理し、説明義務を負う管理職や人事担当者には必ず共有しておきましょう。

  • 任意規定ほどしっかり記載する
    就業規則を見直す際には、これまであったトラブル事例を反映しましょう。
    例えば、「遅刻をしても遅延証明書を提出すれば、遅刻としては扱わない」規定になっていたとします。
    ですが、「毎日遅延証明書を持ってきて5分遅刻する従業員がおり、注意をしたところ『規定通りだ』と言われ、トラブルになった」という場合、「15分以上の遅延証明書のみ受理」と基準を明確に追記することも可能です。

    もそも、遅延証明書を提出した場合に遅刻として扱わない処理は会社の恩恵的な措置です。毎日電車が遅延するのであれば、それを見越して出勤するのが労働者の義務であると指導をしましょう。

こんなときどうする?

Q1. 遅延証明書は遅延分数に関係なく受理していましたが、15分未満は受理しないこととしたいです。これって不利益変更にならないですか?

新たに基準を設ける場合や制度を廃止する場合など、不利益変更とならないかということが問題になってきます。
不利益変更にあたる場合でも、原則、不利益を被るすべての労働者から合意があれば変更は可能です。
例外として、労働契約法10条では、「合理性があり、周知させている場合には個別合意は不要」で不利益変更が可能とされています。
ここでいう「合理性」とは、

  • 労働者が受ける不利益の程度

  • 変更の必要性

  • 変更後の内容の相当性

  • 代償措置や経過措置の有無

  • 労働組合(従業員代表)との交渉経緯

  • 同業他社の状況

といったものから総合的に判断します。今回のケースの場合、遅延証明書を提出することで遅刻として扱わない処理を廃止するわけではないため、労働者が受ける不利益の程度が大きいとは言えないでしょう。また、変更後も15分以上の遅延証明書は有効であり、変更の内容は相当であると考えます。そのため個別同意が必要なほどの不利益変更にはあたらないものと考えます。

 

Q2.  作成したけれどこれでいいかわかりません。アイプラスでチェックしてもらえますか?

もちろん、可能です。

就業規則は、一度作成すれば終わりではなく、会社の実態や法改正、これまでのトラブル事例を踏まえて定期的に見直していく必要があります。そのため、「この内容で問題ないのか」「法的に不備がないか」を確認したいというご相談はよくあります。

アイプラスでは、

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    現在の運用・会社の歴史・トラブル事例を踏まえ、実態に合う形に再設計したいというご要望にお応えしています。変更の背景や運用上の不安点をヒアリングし、就業規則を作成します。一部見直しから全面見直しまでご相談ください。

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    貴社で作成した就業規則を法改正への未対応箇所や、最低限の法的リスクを中心に確認し、改善案を提示します。

  • 就業規則の総合レビュー(背景・運用意図を踏まえた精査)
    貴社で作成した就業規則を変更の背景や運用上の不安点をヒアリングし、法的観点も踏まえ、改善案を提示します。

  • 関連規程の整備(賃金規程・育児介護規程・テレワーク規程など)
    就業規則と整合性を持たせた周辺規程についても、レビューと新規作成に対応しています。

就業規則は会社のルールを示すだけでなく、これまでの運用や歴史を反映する「会社の記録」でもあります。内容に不安がある場合は、早めに確認しておくことで、後々のトラブルを防ぐことにつながります。


長年就業規則を見直していない場合、従業員の反発があるのではないかと悩まれる方も多いでしょう。
たしかにルールが変わることに抵抗を感じることは否めませんが、
時代に合わせて変化していくことの大切さも学んでもらういい機会となります。
進化論で有名なチャールズ・ダーウィンは、
「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。」
という名言を残しました。
これは組織にも同じことがいえるかもしれません。

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