2026年07月28日

これまで事業主には、パワーハラスメント、セクシャルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメントについて、対策を講じることが義務付けられてきました。
2026年10月からは、ハラスメント対策が強化され、新たにカスタマーハラスメントおよび求職者等に対するセクシャルハラスメントの対策が義務付けられます。
今回は、ハラスメント対策のために事業主が実施すべき措置の内容を整理します。
〇〇ハラスメントという言葉は世にあふれているものの、2026年7月時点で法律上、事業主に対策が義務付けられているのは、以下の4つのハラスメントです。
それぞれのハラスメントは以下のように定義されます。それぞれの定義は若干異なるものの、①職場において行われる上司・同僚などの言動により、②就業環境が害されることが原則となります。
この場合の「職場」とは、労働者が通常勤務している場所以外の場所であっても、業務を遂行する場所であれば「職場」に含まれ、出張先や実質的に職務の延長と考えられる宴会なども該当するとされています。
また、ハラスメントに該当するか否かは、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会一般の労働者がどのように感じるか」という、平均的な労働者の感じ方を基準に判断されます。
| ハラスメントの種類 | 定義 | |
| パワーハラスメント |
職場において行われる ※客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導についてはパワーハラスメントには該当しない |
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| セクシュアルハラスメント | 職場において行われる、 労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応により、 その労働者が労働条件について不利益を受けたり、 性的な言動により就業環境が害されること |
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| 妊娠・出産等に関するハラスメント | 職場において行われる、 上司・同僚からの言動(妊娠・出産したことに関する言動)により、 妊娠・出産した女性労働者の就業環境が害されること |
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| 育児・介護休業等に関する ハラスメント |
職場において行われる、 上司・同僚からの言動(育児休業・介護休業の利用に関する言動)により、 育児・介護休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されること |
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上記のハラスメントの防止のため、「事業主が講ずべき措置」が厚生労働大臣の指針に定められています。
事業主は、これらの措置を必ず講じなければなりません。
※妊娠・出産、育児・介護休業等に関するハラスメントについては、その原因や背景となる要因を解消するための措置が含まれます。
1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
ハラスメントの内容およびハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
ハラスメントの行為者については、厳正に対処する旨の方針および対処の内容を就業規則等の文書に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
妊娠・出産等、育児・介護休業等に関する否定的な言動がハラスメントの発生の原因や背景となり得ること、また制度等の利用ができることを明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること【妊娠・出産、育児・介護休業等に関するハラスメント】
2.相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
行為者・相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知すること
事業主に相談したこと、事実関係の確認に協力したこと、都道府県労働局の援助制度を利用したこと等を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
業務体制の整備など、事業主や妊娠した労働者その他の労働者の実情に応じて、必要な措置を講ずること【妊娠・出産、育児・介護休業等に関するハラスメント】
上記の措置の他にも、望ましい取り組みとして挙げられているものがあります。
これまでは、主に社内や取引先との関係性により生じるハラスメントへの対策が求められていましたが、2026年10月の改正により、事業主には求職者等に対するセクシュアルハラスメントおよびカスタマーハラスメントを防止するための措置が義務付けられます。対策として必要な措置は大きく変わらないものの、これまでとは異なる対策が必要になる部分があります。
| ハラスメントの種類 | 定義 |
| 求職者等に対する セクシュアルハラスメント |
事業主が雇用する労働者による性的な言動により、 求職者等による求職活動等が阻害されるもの |
| カスタマーハラスメント |
職場において行われる、 ※電話やSNS等のインターネット上において行われるものも含まれる |
求職者等には、インターンシップへの参加者や教育実習や看護実習などの実習を受ける者も含まれます。
求職活動等についても、採用面接への参加や企業の就職説明会の参加、OBOG訪問、インターンシップや実習など幅広い場面が含まれ、対面で行われるもののみならず、SNSなどのオンラインを介したものやオンライン上で行われるものも対象となります。
顧客等とは、顧客や取引の相手方、施設の利用者のほか、当該事業主の行う事業に関係を有する者を指し、今後商品の購入やサービスの利用などをする可能性がある者も含まれます。
社会通念上許容される範囲を超えた言動の例として、契約等により想定しているサービスを著しく超える要求や不当な損害賠償請求などが挙げられます。また、手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるものとして、暴行や傷害、精神的な攻撃、威圧的な言動などが挙げられます。
求職者等に対するセクシュアルハラスメント・カスタマーハラスメントともに、原則としてこれまでのハラスメント対策と同様に以下の措置を講じることが求められます。
ただし、それぞれ以下の点が異なるため、対応が必要です。
1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
原則の周知・啓発のほか、求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、労働者および求職者等に周知・啓発することが求められます。
たとえば、面談時間や場所の指定、実施体制、やり取りに用いるSNSの種類の指定、面談などを行う際の規則などを明確にする必要があります。
このルールについては労働者だけでなく、求職者等にも周知する必要があります。
2.相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
相談窓口をあらかじめ定め、求職者等に周知することが求められます。
1.事業主の方針の明確化およびその周知・啓発
労働者に周知・啓発すべき内容が異なります。
管理監督者にその場の対応の方針について指示を仰ぐことや、可能な限り労働者を一人で対応させないこと、犯罪に該当し得る言動は警察に通報することなどを、あらかじめ定めておくことが求められます。
5.対応の実効性を確保するために必要なカスタマーハラスメントの防止のための措置
カスタマーハラスメント防止のための措置として、特に悪質と考えられるカスタマーハラスメントへの対処の方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、当該対処を行うことができる体制を整備することが求められます。
2026年10月の男女雇用機会均等法および労働施策総合推進法の改正により、求職者等へのセクシュアルハラスメント対策とカスタマーハラスメント対策が企業に義務付けられます。
これまで実施していたハラスメント対策に加え、求職者等への周知やカスタマーハラスメントへの対応方法を明確にすることが求められます。
これにより、求職活動等に関するルールや相談窓口をどのように求職者等に周知するかという点も検討しなければなりません。また、近年増加しているカスタマーハラスメントに対して、企業としてどのような姿勢で対応していくかについても検討する必要があります。
従業員の視点で見ると「もしカスタマーハラスメントを受けた際に会社は守ってくれるのか」という不安を払拭するためにも、企業としての方針を明確にすることは有効でしょう。
今回は、ハラスメント対策のために事業主が実施すべき措置について整理しました。
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