2024年4月22日
通常の人事評価は、「上司から部下」のように一方向からの評価となります。
多面評価(360度評価)では、その名の通り、1人の評価対象者について、直属上司の一方向からの評価だけではなく、普段一緒に仕事をしている同僚や後輩、他部署の同期や所属長など、仕事に関わる様々な立場の人から評価されます。様々な考え方や職場背景を持つ人から多角的視点で仕事ぶりを評価されるため、直属の上司には見えていない言動や、関係各所との良好な関係構築による調整力など、自部署だけではわかりづらい仕事ぶりも評価の対象となります
また、普段の言動や仕事ぶりがありのままの姿で明確化され、評価結果として評価対象者自身で知る事ができるため、これまで自分自身では見えていなかった強みや弱み、今後キャリアアップしていくための新たな課題の発見にも役立ちます。
普段の評価では、直属上司からの評価について「わかってくれない」「評価に納得できない」などの不満の色を見せていた従業員が、多面評価(360度評価)での率直な意見を目の当たりにし、結果を素直に受け入れ、自身の課題解消に向けて自発的に行動し始めた例もあります。評価対象者にとって、1人の上司による評価だけでなく、普段一緒に仕事をしている同僚や後輩などからの意見には納得感があり、多くの人からの評価には公平さを感じるものとなります。そのため、評価された内容や自覚した強みや弱みを素直に受け入れやすくなるのです。
多面評価(360度評価)をより効果的なものとするためには、評価結果について、評価対象者に適切なフィードバックを行うことが重要となります。
ただ「多面評価を実施した」として、その評価結果を評価対象者に見せただけでは、その評価の意図は伝わりにくく、評価への納得感は得られません。
評価結果をどのように捉えらたらいいのか、評価項目の設問の意図は何なのか、評価が「良い」「悪い」で終わってしまわないように、評価対象者へ実施の目的と評価結果を踏まえた今後の方向性の考え方などを、きちんとフィードバックすることが必要となります。
多角的視点から集めた評価結果を、評価対象者に適切にフィードバックすることで、評価対象者は自身での評価と他者からの評価とのギャップを知り、自身の課題認知とその後のキャリアプランにつなげることが可能となります。評価対象者の自発的な言動変容を促すために、評価実施後を見据えた目的の設定と設問の設計を行うことがポイントとなります。
1.自己認識と他己認識のギャップを知る
2.自身の長所と短所を自覚できる
3.言動を正すきっかけとなる
多面評価(360度評価)では、自身の仕事ぶりについて周囲から評価されるため、自身で認識している評価(自己認識)と周囲が認識している評価(他己認識)とにギャップが生じることがあります。自己認識による評価が高く、他己認識による評価も高い項目は、自身の得意領域であり、周囲もその領域での仕事ぶりについて価値を高く感じているということがわかります。一方で、自己認識による評価が高くとも、他己認識による評価が低い項目は、自身の評価と周囲の評価にギャップがあることを意味します。「できているつもり」となっていないか、自分自身を見直してみる必要があります。
このように、多面評価(360度評価)は、自身の認識と周囲の認識の違いに気づくことができ、自分自身に足りていないものは何か、得意としているものは何かを、知ることができます。自己認識と他己認識がともに高い項目については、長所として更に成長させていき、自己認識と他己認識にギャップがある項目については、今後の課題として現状のギャップを素直に受止め、自身の言動に変容をもたらすように考え、行動していくきっかけを与えます。
通常の評価とは異なり、査定や序列づけを行うためではなく、自分自身の「できているつもり」と、周囲の「はた目からの評価」の認識のギャップに気がつき、自分自身の行動変容と成長を促すきっかけとすることを目的に、多面評価(360度評価)は活用されています。
客観性があり、結果に納得感がある
多面評価は、上司のみならず、同僚や後輩など、様々な立場の人からの意見が集まるため、集まった意見に納得してもらいやすくなります。
上司からの一方向評価では、「上司は働きぶりを見ていない」「恣意的な評価をされた」等、受入れ難く感じてしまうことがありますが、日々一緒に仕事をしている同僚や後輩からの意見は納得感が高く、結果を前向きに受け入れることができます。
自己評価と他者評価とのギャップを認識できる
自身で考えている姿と周囲が感じている姿とのギャップを認識することができ、「できているつもり」の自分に気づくきっかけとなります。
客観性の高い意見で認識するため、その後の自発的な意識・行動改革を促すことにつながります。
自身の強みと弱みに気づくことができる
「何ができている」「何ができていない」のか、日々仕事を一緒にしている複数人から評価されるため、これまで見えていなかった自身の強みや弱みに気が付くことができます。
プレイヤーとしての能力が高いのか、育成者としての能力が高いのか、など、多方面から意見が集まることで認識できることがあります。
人間関係悪化の懸念がある
実名で評価を実施した場合に、自身が考えているよりも低い評価を受けたり、批判的なコメントをされたりすると、結果を素直に受止められず、評価者との関係性が悪化してしまう可能性もあります。
また、部下が上司の評価をする場合に、評価によりその後の自分の処遇に影響を与えてしまうのかと不安になり、正直な評価をしないことも考えられます。
評価結果は、長期的に捉えて、自身を改めるきっかけとなるためとても重要であり、評価の匿名性を確保するなどの方法をとり、公正な評価を実施できるようにすることが重要です。
運用に工数とコストがかかる
評価項目の設計・評価者と被評価者の選定・評価シートの準備から配布・回収・集計など、検討するべきことや掛かる工数が多くなり、実施する人事部門に負荷がかかります。
外部運営会社の活用等を検討し、掛かる工数を削減、継続的に運用できる仕組みをつくることをお勧めします。
多面評価(360度フィードバック)は、アイプラスが実施する多面評価システムです。
多面評価を実施する目的の設定から、評価項目の設定、評価の実施、評価実施後のフォローまで、一貫してサポートが受けられるため、人事担当者の負荷が軽減できます。また、結果の回収や集計作業も委託できるため、評価内容の匿名性が確保され、評価をする側の心理的負荷を軽減できることから、忖度のない公正な評価が期待できます。評価を実施した後は、各評価対象者それぞれの評価結果報告書が作成されます。評価結果報告書をもって、評価対象者は解説と分析のフィードバックを受け、自発的なキャリアプランへの落とし込みを目指します。人事担当者は、評価結果の運用方法や評価者と評価対象者へのフォローの仕方について相談できます。
評価される人は…
人事担当者として…
ただ「多面評価を実施した」だけでは、効果は限定的なものとなってしまいます。
多面評価を効果的なものにして、会社が抱える人材課題の解決につなげるためにも、何を目的として多面評価を実施するのかを明確にし、運用方法や評価項目を適正に定め、主観的な評価とならないよう、きちんと対象者へ周知しましょう。
また、一度の実施では効果は限定的なものとなってしまいます。
長期的・継続的な実施を見通した運用方法であることも大切です。
多面評価の実施目的の設定から評価項目の設定・実施のサポート・実施後フィードバックのサポートまで、トータルでお任せしたい方、「詳細について詳しく知りたい」「費用はどれくらいか知りたい」など、気になる方は、「ご相談フォーム」より、お気軽にお問合せください。
「お問合せ内容」の項目欄に、「多面評価について」とご記載をお願いいたします。
「人・組織のコンサルティング会社」
社会保険労務士法人アイプラス
3つの人事コンサルティングサービスを軸として、人事労務に関する課題の解決をサポートしている会社です。
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