休職規定作成時のポイント

更新日アイコン2025年9月9日

休職規定作成時のポイント

メンタル不調による休職が増える中で、企業としては休職制度の整備と運用ルールの明確化が重要になっています。就業規則に休職に関する規定を設ける際には、以下のようなポイントに注意が必要です。

■ 休職は「権利」ではなく「制度」

まず前提として、休職は労働者の当然の権利ではなく、会社が制度として定めるものです

そのため、就業規則に明記されていない場合、会社が休職を認めるかどうかは個別判断となります。ただし、裁判例では「長期雇用の中で病気になることもあるため、一定期間は回復を待つべき」とする傾向があります。

■ 診断書の扱いと判断の基準

従業員から医師の診断書が提出された場合、企業としてはその内容を尊重する姿勢が求められます。ただし、診断書の記載内容をすべて無条件に受け入れる必要はありません。

診断内容に疑義が生じた際には、まずは年次有給休暇や欠勤等を利用して休養の機会を確保した上で、本人の同意を得て主治医や産業医の意見を聴取するなどの対応が必要となります。

■ 規定文言の工夫

「連続欠勤〇日以上で休職」といった規定では、「連続性」が争点になることがあります。例えば、有給休暇を取得した場合や短時間の出勤をした場合には「連続欠勤」が途切れることになります。
これを避けるために、「暦日連続〇日間以上就労がない場合」や「心身の不調により労務提供が不完全な場合」といった表現が推奨されます。

■ 休職期間の設定と通算規定

休職期間は企業規模や業種に応じて異なりますが、一般的には3ヶ月〜1年程度が多く、裁判例でも2〜4ヶ月程度の期間が有効と判断されています。また、復職後に同一または類似の理由で再休職となった場合の通算規定(例:「復職後3ヶ月以内に再休職となった場合は、前回の残期間を適用」)も設けておくと安心です。

■ 復職判断と段階的復帰の仕組み

復職にあたっては、主治医の診断書だけでなく、産業医の意見や会社指定医の診断を参考にすることが望ましいです。
「試し出勤」や「リハビリ勤務」を制度化することで、復職の可否を慎重に判断できます

■ 休職中の処遇と行動管理

休職中は原則無給ですが、社会保険料の納付や定期報告の義務などを明記しておくことが重要です。また、療養に専念する姿勢を求めつつも、旅行や外出などを一律に禁止することは避けるべきです。医師の指導のもとでの気分転換は治療の一環とされることもあります

■ プライバシーと公平性への配慮

メンタル不調は個人情報に関わるデリケートな問題です。休職理由や病名などの情報は、必要最小限の関係者のみに共有し、プライバシー保護を徹底する必要があります。また、他の休職事由(育児・介護など)と差別的な扱いをしないよう、公平性にも配慮しましょう


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