2025年 11月25日

就業規則の取り扱いには慎重を期したいと考えられる方も多いのではないでしょうか。内定者からの就業規則閲覧希望には応じる義務があるかについて解説します。
内定者からの就業規則の閲覧を希望された場合には、内定者の法律上の地位と使用者の義務が争点になります。まずは、内定者の法律上の地位を確認してみましょう。
次に使用者の義務を確認してみましょう。
就業規則は労働者に周知しなければいけないのでは?と考える方も多いのではないでしょうか。具体的に法律ではどのように定められ、解釈されているかを解説します。
上記から考えると、始期付解約権留保付労働契約が成立した内定者に、就業規則を閲覧させる義務があるとまでは言えませんが、適切ではないでしょう。
就業規則の取り扱いには慎重を期す場合には、下記のような閲覧方法の工夫をすることをおすすめします。また、就業規則を閲覧したい理由についても確認し、今後の行動を注視しておくことも大切です。
・会社のみで閲覧させる
・該当箇所のみ閲覧させる(賃金など数字部分は見せない、黒塗りするなど)
・自身でメモをすることは構わないが写真はNGなどの規制をする
・閲覧した内容を漏らさないよう誓約書に署名させる
前提として、通常は労働基準法第106条に則った周知をしていなければなりません。しかしながら内定者については、事業場へ立ち入れない、社内のシステムの利用ができないなどの理由から実質的に閲覧できない場合があるため、上記のような対応も可能と考えます。また、労働契約の始期が来ていないこと、双方労働契約の解約が可能なことから、必ずしも全文を見せる必要はないでしょう。
Q1 就業規則に内定取り消し事由を記載しています。閲覧させた方がいいですか?
就業規則の内容を内定者に適用する場合には、労働契約締結時に周知する必要があります。そのため、就業規則に内定取り消し事由を記載している場合には、その部分だけでも内定者に閲覧させるべきでしょう。
Q2 内定の電話はしましたが、採用内定通知書などの書面は未送付です。労働条件通知書等も準備中ですが、就業規則の閲覧希望がありました。閲覧させた方がいいですか?
契約は口頭であっても互いが合意をすれば成立することが原則です。採用決定通知は必ずしも書面が必要なわけではありません。ただし、判例では、「採用内定通知以外に諸手続きや労働契約書の締結を予定していた場合には、所定の手続きが終了したときに始期付解約権留保付労働契約が成立する」と考えられています。採用時の慣習として、採用内定通所の送付等の手続きをしているのであれば、採用内定通知以外に労働契約締結を予定していた場合に分類できるため、労働契約締結の際に閲覧させればよいでしょう。
労働関係法令を根拠に、判断軸やトラブル時の対応方法をアドバイスします。
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