無期転換ルール

更新日アイコン2026年 01月13日 

無期転換 労働条件変更

無期転換時に、契約条件を変更したいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は無期転換ルールの原則をはじめ、無期転換時に労働条件は変更できるのかについて解説します。

無期転換ルールとは

無期転換ルールとは、有期労働契約が同一の使用者との間で通算5年を超えて更新された場合は、有期契約労働者(契約社員やアルバイトなどの名称を問わず、雇用期間が定められた労働者)の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されることを言います。

無期転換ルール
(厚生労働省「無期転換ルールハンドブック」引用)
  • 必ず「期間の定めのない労働契約」に転換しなくてはいけないの?
    下記3つの条件をすべて満たす場合には、必ず「期間の定めのない労働契約」に転換しなくてはいけません。
    ①通算5年以上働いている
    ②従業員から申請があった
    ③1回以上契約を更新している
    5年以上働いていても申請がなければ、期間の定めのない労働契約に転換する必要はありません。これまで、アルバイト等の有期契約労働者は雇止めができ、人材の整理がしやすいというメリットがありましたが、長期間雇用している有期契約労働者については雇止めができない場合があるため注意が必要です。

  • 無期転換権の行使が可能な期間に雇止めはできない?
    無期転換権の行使が可能な労働者でも、原則は、有期労働契約期間満了で雇用契約は終了となります。契約期間満了前に当該労働者を解雇する場合には(例えば、3年間の契約で2回目までは更新し、3回目を更新しないことは可能ですが、2回目の期間中で最初の契約から5年を経過したのちに解雇する場合など)、無効とされることがあります。
    また下記のような場合には有期労働契約期間満了であっても、雇用契約の終了には合理的な理由がなければ、無効とされることがあります。
    ①期間の定めのある労働契約が反復更新され、期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態に至っている場合
    ②反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合

無期転換時の労働条件

原則として、有期労働契約から期間の定めのない無期労働契約へ転換する際には、期間以外は従前の労働契約を引き継ぐこととなります。(労働契約法第18条1項)
しかしながら、労働協約、就業規則、個別の労働契約に「別段の定め」がある場合には契約内容の変更が可能です。(労働契約法第18条1項)例えば、個別の労働契約で「無期転換権を行使し、期間の定めのない労働者となった場合には、電話対応業務をさせる場合がある。」などです。

【原則】
有期労働契約→期間以外の労働条件を引き継いだ無期労働契約
無期転換前との違いは契約期間のみです。シフト制のアルバイトだった場合は、シフト制がそのまま引き継がれます。

【例外】
有期労働契約→期間以外の労働条件も変更した無期労働契約
無期転換前の契約に「別段の定め」があれば、契約条件を変更することも可能です。

  • 無期転換時に労働契約条件を変更できるか否か
    労働契約法第18条に定められているように「別段の定め」がある場合には、労働契約の条件は変更が可能です。
    また、「別段の定め」がない場合でも、「労働者が自由な意志に基づいて労働契約に合意をした場合」には、労働条件の変更が可能です。ただし、条件変更に応じないを理由に無期転換申し込みの拒否はできません。

  • 「別段の定め」はどの程度許されるか?
    原則として、契約は自由なため、労働基準法の範囲内であればどのような定めをするかも自由です。無期転換前と後で労働者にとって労働条件が下がる場合でも、ただちに不利益変更になるとは言い切れませんが、労働契約法7条~10条が適用されるため、労働者に一方的に不理な定めをすることはできません。
    第7条:合理的な就業規則を定めて、労働者に周知していた場合には、労働条件は就業規則による。ただし、個別で労働契約を締結した際には、個別の労働契約を優先する。個別の労働契約が就業規則を下回っていた場合は、就業規則の定めを優先する。
    第8条:労働契約の内容は、労働者と使用者の合意により変更できる。
    第9条:就業規則は、労働者と使用者の合意がないと変更できないが、10条の場合は除く。
    第10条:①変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、②就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、個別の労働契約が就業規則を下回る場合を除き、個別の労働契約を優先する。

    就業規則により「別段の定め」をする場合→無期転換権の行使を抑制することのみを目的とした、労働者に一方的に不利な労働条件の場合、労働条件設定の合理性が認められないことがあります。

    個別合意により「別段の定め」をする場合→労働者が「自由な意志に基づいて労働契約に合意をしたものと認めるに足りる合理的な理由」が客観的に存在する必要があります。

    判例では、「自由な意志に基づいて労働契約に合意をしたものと認めるに足りる合理的な理由」が存在するか否かについて、①変更により労働者にもたらされる不利益の内容及び程度、②変更に先立つ労働者への情報提供又は説明、③労働者が合意するに至った経緯及びその態様に照らして判断することとしています。労働者は使用者の指揮命令下に置かれており、情報収集に限界があることからこのような要件があります。

こんな時どうする?

Q1 期間の定めなく雇用するのであれば、フルタイムで働いて現場を熟知してほしいと思っています。無期転換後はフルタイムとなることを条件とした労働契約は可能ですか?

前提として、無期転換申し込み権が発生する更新のタイミングごとに無期転換後の労働条件の明示が必要です。原則、契約するか否かは自由ですが、労働者が自由な意志に基づいて労働契約に合意したか否かが争点となります。特にフルタイムに変更となる場合、不利益変更の可能性があるので注意が必要です。

Q2 最近、スキルの足りない有期契約社員が増えてきました。スキル不足の有期契約社員に無期転換権を行使されたら困るので、「実務テストに合格すること」を有期労働契約更新の条件として設定してもいいですか?

まず、労働契約締結の際に、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項に「実務テストがある旨」の記載をしていることが必要です。新規に労働契約を締結する場合「実務テストがある旨」を記載していれば問題ありません。更新時に更新条件を変更する場合には、労働者が自由な意志に基づき合意をすれば変更可能です。ただし、雇止めを目的として、誰も合格できないような実務テストを実施することはできません。

Q3 勤務態度の芳しくない、仕事の成果が出ていない有期契約社員がいます。有期労働契約の更新時に更新上限を追加することは可能ですか?

前提として、労働契約締結の際に、期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間又は有期労働契約の更新回数に上限の定めがある場合には当該上限を含む。  )の記載が必要です。契約の更新時に更新上限を追加設定をするということであれば、労働者の自由な意志に基づいた合意により可能です。


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