子の扶養

更新日アイコン2026年 03月10日 

扶養 共働き 16歳以下 所得税 住民税 社会保険

日本でも女性の総理大臣が誕生するなど、性別にかかわらず働くことが当たり前の時代になりました。
夫婦ともに仕事を持つ「共働き家庭」も増えていますよね。
そうした中でよくある疑問が、「子どもは父母どちらの扶養に入れるべきなのか?」という点です。
今回は子どもの扶養の基本的な考え方と、迷いやすいケースについてご紹介します。

扶養とは

一般的に扶養とは、経済的に自立していない家族や親族の生活費を支援することを指します。
民法では子の扶養について、このように規定しています。

【第877条1(扶養義務者)】 
直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養する義務がある。

【第817条12-1(親の責務)】(令和6年5月成立・令和8年4月より施行)

父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとともに、その子の年齢及び発達の程度に配慮してその子を養育しなければならず、かつ、その子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない。

このように、法律上で子の扶養義務が定められている以上、その経済負担を少しでも軽くするために税法上や社会保険上では各種の「扶養控除」を設けています。

  • 子を扶養にいれると受けられる控除

    子を扶養に入れることで、受けられる控除には2種類あります。
    「税法上」の控除と「社会保険上」の控除は、それぞれ制度の目的が異なります。

    まず、税法上は、所得税と住民税における扶養控除があり、いずれも「税金の負担を軽くすること」が目的です。軽減額は子の年齢や収入によって変わりますが、子が16歳未満の場合には扶養控除は受けられません。これは、所得税については児童手当が支給されていること、住民税については非課税限度額の上限を引き上げることで負担調整を図っていることが理由です。 

    一方、社会保険では、主に健康保険料の負担をなくす(免除する)ことが目的で、「保険料の負担軽減」に焦点が置かれています。 年齢制限はありませんが、収入において制限があります。

    子の扶養についての主な違いを表にまとめると下記のようになります。

    260310扶養家族a-1

子はどちらの扶養に入るか

それでは、共働きの場合、子は父母どちらの扶養に入るのでしょうか。
まず、法律上は「社会保険上の扶養」と「税法上の扶養」を分けて考えることができます。
たとえば、税法上の控除は母、社会保険上の控除は父というように、別々の親を扶養者とすることも可能です。
ただし、社会保険の場合は、どちらの扶養に入れるかを自由に選べるわけではありません。 

 税法上の場合:夫婦ともに収入がある場合でも、社会保険のように「年間収入の多い方の扶養に入れる」といった画一的なルールは定められていません。父母いずれか一方を扶養控除等の対象とすることになりますが、実務上は、世帯全体の税負担を抑える観点から、所得税率が高い(課税所得が多い)方の親の扶養に入れるケースが多く見られます。その結果として、収入が多い方の親を扶養者とすることが一般的です。

社会保険の場合:夫婦ともに収入がある場合、子の人数にかかわらず、年間収入の多い方の扶養に入ることが原則です。夫婦の年間収入の差額が1割以内である場合には、主として生計を維持する者の扶養に入ることとなります。最終的には、どちらの扶養とするかについて、保険者が子の扶養認定を行い判断します。

こんな時どうする?

Q1 従業員から「税法上は、子どもを配偶者(別会社)の扶養に入れたい」と相談されました。子どもが配偶者の扶養に入っているのであれば、当社の福利厚生の子ども手当の支給しなくてもよいのでしょうか。 

 扶養と会社から支給する手当の取り扱いは混同されがちですが、「扶養」は本来、税法上や社会保険上の制度を指し、一方で子ども手当は会社が独自に定める福利厚生制度です。そのため、この二つは切り分けて考えることが重要です。就業規則や賃金規程などで手当の支給要件を明確に定め、会社のルールに沿って運用していれば、問題ありません。
なお、子どもとの関係を証明する書類としては、戸籍謄本や住民票、給与所得者の扶養控除等申告書、健康保険被扶養者(異動)届などが例として挙げられます。 

Q2 「1人目の子どもは従業員本人(自社)、2人目の子どもは配偶者(別会社)の扶養に入れたい」と相談されました。そのような扱いは認められるのでしょうか?

 社会保険上では、被扶養者の人数にかかわらず年間収入の多い方の扶養に入ることが原則であるため、子どもごとに父母で扶養を分けることはできません。
一方、税法上の扶養においては、同じ子どもを父母双方が重複して申告しない限り、どちらの親の扶養親族としても差し支えありません。また、子どもごとに扶養親族とする親を分けることも可能です。
たとえば、1人目の子どもを従業員本人の扶養親族に、2人目の子どもを配偶者の扶養親族にする場合には、その旨を記載した「給与所得者の扶養控除等申告書」をそれぞれの勤務先に提出すれば認められます。

Q3 「配偶者が失業したので、次の仕事が見つかるまでは子どもと配偶者を扶養に入れたい」と相談されました。社会保険上、このような取り扱いは可能でしょうか?

社会保険上、子どもを従業員本人の健康保険の被扶養者とすること自体には問題ありません。

一方、配偶者については、雇用保険の失業給付を受給する場合の取扱いに注意が必要です。失業給付の待期期間中(まだ給付金を受け取っていない期間)は、健康保険の被扶養者として扱うことができますが、実際に失業給付金の支給が始まった後は、原則として配偶者本人が国民健康保険に加入することになります。

 所得税上は、配偶者が配偶者控除または配偶者特別控除の要件(合計所得金額など)を満たしていれば、従業員本人の「控除対象配偶者」として扶養に入れることができます。
子どもについても、配偶者側で同じ子どもを扶養親族として重複して申告しない限り、従業員本人の扶養親族として申告して差し支えありません。 


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